こんにちは、院長の小西です。
今回は当院の特徴の1つである完全独立型個室のメリット・感染対策についてお伝えします。
この記事の内容は以下の通りです。
- 日本の歯科医院の診療室の問題点(感染面、プライバシー面)
- 隣の診療室からのエアロゾル感染
- 隣の診療室からお話しが聞こえるという心配
- 当院の対策
日本の歯科医院の診療室の問題点(感染面、プライバシー面)
日本ではクリニック内に診療室がいくつもあるクリニックが一般的です。
その診療室の種類としては、オープン型(パーテンションがない)、半個室型、個室型と大別できます。
これらの感染面、プライバシー面における特徴について考えていきます。
感染面から考えた診療室の理想
歯科治療では歯を削る治療において、削る機械からジェット噴射のような水と空気が発生します。
そこで、それを吸うためにバキューム(掃除機のようなもの)で唾液や発生する噴霧(エアロゾル)を吸引しています。
しかし、そのバキュームだけではエアロゾルを完全に吸いきれないことが文献で報告されています(参考文献1)
このエアロゾルの中に感染物質が混入していると、他の診療室に移ってしまう可能性があります。
オープン型や半個室型であっても、扉が開いている種類ですと、この可能性が高まってしまいます。
そのため、ドイツをはじめヨーロッパでは個室型の診療室が大半となっている現状です。
プライバシー面から考えた診療室の理想
オープン型や見えやすい半個室型の場合、隣の患者さんがどのような治療をしているかが見えてしまう可能性があります。
また、歯のお悩みは他人に聞かれたくないことが多いため、患者さんの気持ちへの配慮が大切です。
ですから、個室、ただし個室といってもとなり合う個室の場合、話声が聞こえてしまっては患者さんも気になってしまいます。
しかし、オープン型のような開けた空間で治療をして欲しいという患者さんもいらっしゃる可能性があるため、一概にどちらがいいかではないかもしれません。
当院の対策
以上を踏まえて、当院では日本では少ない診療室が隣り合わない完全独立型個室の診療室にて診療を行っています。
また、現在は診療室は2つだけにしており、その2つは1階と2階に分けているクリニックです。
様々な業者さんや歯科医師に聞いても、このようなクリニックは聞いたことがないと言われます。
完全独立型個室によるプライバシー対策
当院には一般歯科の患者さんから歯を失った患者さんまで、幅広い患者さんが来院されます。
どのような診療であっても、患者さんが安心して我々に相談できるように、診療室が隣り合わない完全独立型個室の診療室にしております。
また著名人も来院される配慮としても、クリニックの裏口から入ってお帰りになっていただけるようにクリニックの設計をしています。
当院の感染(患者同士による二次感染)対策
診療室が隣り合わない完全独立型個室の診療室のため、エアロゾル感染は可能性として極めて低くなります。
もちろん、随時換気しているためエアロゾルの残留においても配慮しています。
また、他の患者さんからの二次感染やそもそもの衛生面の対策として、診療を行う治療台(患者さんが治療の際に座る椅子)も選定して導入しました。
2階にはドイツ製のKaVo社です。歯科業界のメルセデスベンツとも称される診療台です。
なぜ、KaVo社かと言いますと、感染面と歯により優しい治療が可能となるからです。
先ほど述べたように、歯を削る際に水が出てそれを診療台に付属したバキュームで吸います。
そこで問題点がその感染物質や血液、唾液等がその診療台の排水管、注水菅の中で混入、停滞してしまうという可能性です。
これは定期的にその管をきれいに掃除することでは、根本的な対策になりえません。
このKaVo社の診療台はその対策として常時水消毒システムという機能を備えています。
その名前の通り、常に水に人体に影響がでないレベルの消毒水を混ぜることにより、きれいな水そして、それが通るすべての配管に繁殖する菌への対策が可能となります。
また、1階の診療台も日本製のGC社のアクアという機種で、名前の通りきれいな水をというコンセプトの通り、国産では珍しい機能を備えている機種を選定しました。
両者とも一般的な診療台の費用(200万円台)の何倍もするものでしたが、患者さんの安全を考えて導入しております。
当院の滅菌管理
また、お口の中で使用する医療機器はすべて徹底した衛生管理のもと、診療を行っています。
お口の中で使用した医療機器は滅菌室で消毒滅菌を行うのですが、当院の滅菌室は患者さんへの配慮として地下1階に設けています。
加えて、滅菌はドイツ製のメラグ社のクラスBの滅菌機を使用しています。クラスBと聞くと、2番目のように感じますが現時点で可能な最高レベルの滅菌が可能な種類がクラスBの滅菌機として位置付けされています。
歯を削る機械(タービン)は患者さんごとに滅菌することは当然ですが、タービンの中に混入された感染物質を排除するためにKaVo社のタービン内の洗浄する機器も導入してより安全に配慮しています。
滅菌したこれらはすべて滅菌パックにいれて、患者さんが診療室に入ってから使用する器具のみを開封しています。
このように感染対策には、コストも手間もかかるのが現状です。
この根本の衛生管理がおろそかでは、どんな高度な医療機器を使用しても、私は十分な診療をして差し上げられないと考えております。
また、薬剤の安全面においても同様に、本当に必要で安全性が高いと判断した薬剤のみお口の中で使用しています。
そのため、よく患者さんから歯医者特有の臭いがしないですねと言われます。
しかし、このような衛生対策は私のみでは成り立たず、これらを完全に理解して実施してくれるスタッフによって成り立っています。
我々の患者さんに対する衛生面の配慮が少しでも伝われば幸いです。
当院のその他の配慮について
また、開業してから現在まで1日に診る患者さんの数を制限しておりますので、混み合うことはほとんどないようにしております。
最後になりますが、歯科医院に来るのは誰しもが悩みを持って来院されます。
加えて、歯医者に行くというのは苦痛になっている方も少なくありません。
そのようなお気持ちが少しでも明るくなるように当院では受付にお花を置いています。
週に一度定期装花をMIO’S Flowerさんにお願いしております。
衛生面等も大変重要ですが、気持ちの面でもご安心してご来院いただければと思います。
【参考文献1】伊藤 香那:口腔外科診療室内の汚染エアロゾルの拡散状況について 松本歯学 39:139~140,2013