AGCテレスコープ義歯とは、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の種類の1つです。
テレスコープ義歯の種類の中でも新しい種類の1つでコーヌステレスコープ(コーヌスクローネ、コーヌス義歯、コーヌスデンチャーとも言われる)の進化したテレスコープ義歯です。
AGCテレスコープは50代60代で歯がボロボロの方や、奥歯や前歯の部分入れ歯の治療方法として使用できます。
この記事では、AGCテレスコープの特徴や適応症例、メリット、費用等、AGCテレスコープの全てがわかるように解説しています。
この記事の内容は、
- AGCテレスコープとは
- AGCテレスコープの特徴
- AGCテレスコープのメリット
- AGCテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か
- AGCテレスコープに関するよくあるご質問
- AGCテレスコープの実際の症例を解説
- まとめ
AGCテレスコープとは
AGCテレスコープとは、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の種類の1つで、テレスコープ義歯の種類の中でも比較的新しい種類の1つです。
AGCテレスコープは50代60代で歯がボロボロの方や、奥歯や前歯の部分入れ歯の治療方法として使用できます。
AGCテレスコープは、テレスコープ義歯の種類で代表的なコーヌステレスコープに近い性質を持ち、進化したテレスコープ義歯です。
【関連記事】コーヌステレスコープ義歯とは|種類、メリット、デメリット、費用を解説します
歯を支えにして義歯が外れない仕組みが、コーヌステレスコープに似ているため、特徴は適応症例や禁忌症例の取り決め、治療ステップ、治療期間等はコーヌステレスコープと近似していますが内部の構造が少し異なります。
AGCテレスコープのAGCとはAuro Galvano Crownの略です。
Auroは「金」を原材料とした、Galvano「電気化学反応」で製作された、Crown「被せ物、義歯」という意味です。
AGCテレスコープの内面である歯に接する側は99.9%の金で製作された金箔のようなものが内蔵されています。
それによって、歯に装着した内冠とぴったりになり、入れ歯用接着剤を使わなくても義歯が外れない仕組みとなります。
AGCテレスコープの特徴
AGCテレスコープはコーヌステレスコープと比較することで特徴や構造、仕組みがよく理解できます。
AGCテレスコープの構造と仕組みですが、コーヌステレスコープと同様に虫歯治療や歯周病治療をした後に、ご自身の歯も含めて全ての歯に内冠を装着します。
この内冠は、コーヌステレスコープと同様、原則白金加金合金という金主体60%の金属で鋳造加工という金属を鋳込む方法でハンドメイドで制作します。
そして、内冠の上からコーヌステレスコープのように脱着できる外冠を装着します。
歯を傷めずにぴったりはまり外れないため、コーヌステレスコープもAGCテレスコープも従来のような入れ歯で発生する義歯が外れる、よく噛めないということは起こりません。
コーヌステレスコープと大きな違いは外冠とその仕組みにあります。
コーヌステレスコープの外冠は内冠同様の白金加金で鋳造加工で製作するのに対し、AGCテレスコープの外冠のフレームはコバルトクロム合金で、内冠と接する部分のみ別のパーツである金箔の様なもの(中間構造体や電鋳コーピングと呼ぶ)を内蔵している違いがあります。
コバルトクロム合金と白金加金との異種金属同士を鋳造加工でぴったりにすることは不可能であることはこれまで証明されています。
そのため、外冠の内冠に接する部分だけ99,9%の金を介在させ適合させます。
その金の製作方法は、電気鋳造加工の略で、電鋳(でんちゅう)加工と言い、電気めっきと同じ電気化学反応を利用した表面処理技術で製作しています。
これがAGCテレスコープのAuroは「金」を原材料とした、GであるGalvano「電気化学反応」の由来となります。
AGCテレスコープのメリット
この電鋳加工で仕上げた内冠と外冠の適合は鋳造技術よりも精度は高いとされ、外冠のフレームをコバルトクロム合金でできるため薄くかつ軽くできるメリットがあります。
外冠の厚みをコーヌステレスコープよりも若干薄くできることにより、内冠の歯の切削量を抑えたいものの、分厚くなるのを防ぐ効果にもなります。
コーヌステレスコープをはじめとする全ての種類のテレスコープ義歯に関しては、様々な理由から、歯を削り過ぎることは決して推奨しません。
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加えて、外冠のフレームに白い歯(硬質レジンと呼ばれる樹脂とセラミックのハイブリット)を盛る厚みが取れることができるため、色彩を豊かにできるメリットもあります。
最大のメリットは、コーヌステレスコープとは仕組みが違うため、これまでコーヌステレスコープでは不向きとされていた神経がない歯が多い状態、インプラント体がすでに入っていて撤去したくない等の症例ではAGCテレスコープで治療できることです。
AGCテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か
テレスコープ義歯に関連する治療は、保険適用はできません。
すべて保険外診療(自由診療)となります。
したがって、テレスコープ義歯が入るまでに必要な虫歯治療や歯周病治療から噛み合わせ治療に必要な仮歯、仮義歯も全て保険外診療(自由診療)となるため必要な治療費を合算する高額となります。
当院ではテレスコープ義歯の場合は、これらの治療を含んだ治療費として約200万〜300万円がかかります(医療費控除の対象)。
AGCテレスコープの治療費用は、制作費も含めた全てをパック治療とし、308万円(税込)となります。
上記の治療費用は、製作で金を使用しますが、当院で規定した金の費用を超えない場合です。歯の本数や状態によって異なりますので、治療前の精密検査で見積もりもできますので、ご安心ください。
AGCテレスコープに関するよくあるご質問
Q: AGCテレスコープとコーヌステレスコープはどちらがいいですか?
A: どちらがいいということではありません。患者さんのお口の中の状態によって異なります。ただし、コーヌステレスコープでは不向きとされていた神経がない歯が多い状態、インプラント体がすでに入っていて撤去したくない等の症例ではAGCテレスコープが理想です。
これは、コーヌステレスコープよりもマイルドな接触にも関わらず、コーヌステレスコープと同様ぴったりにできることからきています。
コーヌステレスコープかAGCテレスコープがいいかは歯科医師の判断のもと、相談することをお勧めします。
ただし、同じコーヌステレスコープと言えど、各種テレスコープ義歯は日本では本場ドイツで行われている方法されている歯科医師は少ないため、患者さんが見極める技術も問われます。
Q: AGCテレスコープの金箔のようなものはずっと持ちますか?
A:コーヌステレスコープの内冠と外冠の白金加金を用いた鋳造加工による適合はくさび効果であり摩擦ではないため、本場ドイツの方法で製作されたコーヌステレスコープは経年的な維持力の低下はほとんどないとされています。
AGCテレスコープは内冠と電鋳コーピングには約5~10μmの隙間があり、この隙間に水や唾液が介在することで、ガラス同士が合わさったようなぴったり具合(吸着現象)になります。
これは、コーヌステレスコープのようなくさびでも摩擦でもありません。
したがって、AGCテレスコープもコーヌステレスコープと同様に維持力が低下する可能性は少ないですが、AGCテレスコープの場合は万が一維持力が低下した場合、電鋳コーピングのみ作り替え交換ができます。
AGCテレスコープの実際の症例を解説
実際にAGCテレスコープで治療した患者さんの実例をおふたり紹介します。
お一人目は、コーヌステレスコープでは不向きな神経がない歯が多い状態で、インプラントや従来の入れ歯以外で治療方法を探されていた60代の患者さんです。
お二人目は、インプラントがすでに入っており、そのインプラントの周囲の歯肉が膿んでおり、他の天然歯も抜けて、もうインプラントはしたくないが入れ歯にはしたくないという60代の患者さんを紹介します。
AGCテレスコープ症例①
症例の概要
コーヌステレスコープでは不向きな神経がない歯が多い状態で、インプラントや従来の入れ歯以外で治療方法を探されていた60代の男性
治療費用・治療期間
治療費用:治療費・仮歯・仮義歯込みで308万円(税込)
治療期間:約10か月(前半約6か月は1~2週に1度、後半約4か月間は1月に1回の来院頻度)
※治療費用や種類は治療当時の記載であるため、現在は変更になっている可能性があります。
治療のリスク
・人工的な歯であるため慣れが必要です
・定期的なメンテナンス(3~6か月に一度)が必要です
AGCテレスコープ症例②
症例の概要
インプラントがすでに入っており、そのインプラントの周囲の歯肉が膿んでおり、他の天然歯も抜けて、もうインプラントはしたくないが入れ歯にはしたくないという60代の女性
治療費用・治療期間
治療費用:治療費・仮歯・仮義歯込みで308万円(税込)
治療期間:約10か月(前半約6か月は1~2週に1度、後半約4か月間は1月に1回の来院頻度)
※治療費用や種類は治療当時の記載であるため、現在は変更になっている可能性があります。
治療のリスク
・人工的な歯であるため慣れが必要です
・定期的なメンテナンス(3~6か月に一度)が必要です
まとめ
このようにAGCテレスコープは50代60代で歯がボロボロの方や、奥歯や前歯の部分入れ歯の治療方法として使用できます。
そのほかにも、歯が全体的に歯がボロボロで歯が数本しか残らない場合でも他の種類のテレスコープ義歯でほとんどの場合、治療ができますのでご安心ください。
当院では、テレスコープ義歯以外にも様々な入れ歯やインプラント治療などの治療も患者さんの希望にお応えして治療することもできます。
ご自身に近い状態が症例集にいずれかに該当すると思いますので、症例集もご確認ください。
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当院では全てのテレスコープ義歯治療は、歯がボロボロでテレスコープ義歯などの治療を行った症例報告で全国で何度も最優秀賞を受賞し、テレスコープ義歯で歯科医師向けに依頼講演や依頼執筆を行う院長の小西が全て設計から治療まで担当しますのでご安心いただければと思います。
詳しくは院長紹介もご覧ください。
執筆者:院長 小西 浩介