必ず知るべきインプラントのリスクと対策

必ず知るべきインプラントのリスクと対策

歯を失ったときのインプラント治療にはメリットもありますが、リスク、デメリットもあります。

インプラント治療は、骨に金属製の人工歯根を埋め込む必要があるため、治療時そして将来的なリスクも十分に知っておく必要があります。

 

インプラントのトラブル

 

今回は、インプラント治療を検討されている方に対して、必ず知っておくべきインプラントのリスクとその対策について徹底解説します。

 

私は臨床でインプラント治療を多数行っており、決してインプラント治療を否定するものではなく、どのような治療にもリスクはあります。

インプラントのリスクを十分に患者さん自身に十分に知っていただき、そのリスクをできる限りどう回避するかの工夫や、インプラント以外の方法もあることをお伝えできればと思います。

 

この記事の執筆は、歯がボロボロの状態や、歯を失った患者さんの治療を専門としている、学会やコンペティションで数々の受賞歴を持つ、東京の「このは歯科クリニック」の院長である小西が行っておりますので、今後の治療のご参考にされてください。

 

この記事の内容は、

  1. インプラント治療のリスク、デメリット、経過不良の実例
  2. インプラント治療のリスクへの当院の対策
  3. インプラント以外の方法も知っておく
  4. インプラント治療を選ぶ歯科医院のポイント

 

インプラント治療のリスク、デメリット、経過不良の実例

当院は、一般的な歯科医院ではなく、歯を失った方や歯がボロボロの方を専門にしています。

 

全国から患者さんが来院され、インプラント治療も数多く手掛けていますが、どの患者さんにもインプラントにはメリットばかりではなく、必ずデメリットやリスクがあることを包み隠さずお伝えしています。

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今回は、インプラント治療のリスクやデメリットについて解説します。

インプラント治療の外科手術後の痛みや腫れの可能性

インプラントのリスクの1つは、インプラント体を骨に埋め込む手術の際は、麻酔をしておりますが、術後麻酔が切れてきた頃から痛みが発生する可能性があります。

また、腫れることがあります。

インプラント手術が大きな手術になる場合は、痛みや腫れが大きくなる可能性があります。

しかし、痛みや腫れは一時的なものであることが大半です。

 

インプラント体が生着しない可能性

インプラントは骨に埋め込む性質上、必ず生着するとは限らないというリスクがあります。

骨の質や量、生活習慣、全身状態等に影響を受けます。

 

Jaffinらによると、タイプ4の骨質(骨が柔らかい)ではインプラントの失敗率は35%の失敗率に達することを報告しています。

その報告では、インプラントの失敗の主な危険因子は脆弱な骨質と少ない骨量とであったとされているように、患者さんの骨の状態に大きく影響を受けることがわかります。

 

生着の成功は、歯科医師の技術、インプラントの材質も重要ですが、患者さんの状態も影響を強く受けることを十分理解する必要があります。

 

神経や血管を損傷する可能性

インプラント体を埋め込むスペースを作るために、歯肉を切開し、開いて、骨に直接ドリルで穴を開けます。

その際に、神経や血管を損傷するリスクがあります。

 

それによって知覚麻痺や大出血を引き起こし、過去には残念ながら日本で死亡事故も起こっています。

他院で入れられたインプラントが神経と血管に接触しており、患者さんは不快症状を長年感じている。

 

歯科医師が、3DのレントゲンであるCTで術前、インプラント手術中、手術後に十分に確認すれば、そのリスクは軽減できますが、

実際骨の中でドリルを操作している際は、直接見えないため、リスクをなくすことは難しいとされています。

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特に、骨が少ない場合、神経や血管を損傷するリスクが高まります。

 

上顎洞や鼻腔を損傷する可能性

上顎のインプラント治療の場合、上顎洞(じょうがくどう)と言われる鼻の横にある空洞を損傷するリスクがあります。

 

上顎洞に炎症や感染が起きると、上顎洞炎という蓄膿症と似た症状が出ることがあります。

他院で上顎に骨造成を併用したインプラント治療後に、産んでしまい蓄膿症と同じ症状が出ていた患者さんのCT画像

当院でインプラントの撤去手術を行ないい、撤去したインプラント

 

上顎の骨が少ない方や、骨が少ないために骨を増やす骨造成(こつぞうせい)という治療を併用したインプラント治療をする場合は、この上顎洞炎が起きるリスクがより高くなります。

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インプラント体や骨の造成部分が歯周病や感染する可能性

インプラント体が骨に生着後も、歯周病や細菌感染するリスクがあります。

 

インプラントは、虫歯になることはありませんが、天然歯と同じように歯周病になる可能性があります。

インプラントの歯周病のような状態はインプラント周囲炎と言われます。

 

インプラントは天然歯とは違い、細菌感染などに対する生体の防御機構が働きづらい環境となります。

インプラント周囲炎が起きた場合、進行するとインプラント体が抜けてしまう可能性もあります。

インプラント周囲炎

奥歯に他院で入れられた3本のインプラントが膿んでおり、噛んだら痛いという状態

 

撤去したインプラント

撤去手術で摘出したインプラント

撤去したインプラント2

撤去手術で摘出したインプラントの周囲には膿が多量に付着している

インプラント撤去後

感染した骨も手術で撤去した状態

 

また、骨造成した部分では、天然の骨のように防御機構を持たないこともあるため、感染しやすい可能性があります。

 

インプラントを支える骨に影響がでた場合、その骨とインプラントを全て撤去しなければならないことがあります。

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全身状態(病気や免疫力等)に影響し、影響される可能性

インプラントは骨に埋め込むことから、循環器系疾患やアレルギー疾患,消化器系疾患,骨粗鬆症,腎機能障害に影響を受けることがあります。

また、その逆でそれらの疾患に影響を与える可能性もあります。

 

そのため、インプラント治療を受ける場合は、必ず全身状態も考慮した上でインプラントのリスクを判断をする必要があります。

インプラントを検討する場合、日本口腔インプラント学会でも以下の3点を十分に考慮し治療の可否を判断することを推奨しています(以下、口腔インプラント治療指針2020より一部抜粋改変引用)

 

1現在健康であること(種々の検査に問題となる異常がない)

2これからの平均余命

3インプラント治療が最善か(他の補綴治療とインプラント治療との比較が重要)

の3点に関して,治療担当者として患者へのインフォームド・コンセントを行うことが重要である

 

したがって、インプラント治療を検討される場合は、現在の全身状態だけではなく、将来も見据えて、検討することをお勧めします。

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インプラント治療のリスク、デメリットを減らす対策

これまでインプラント治療のリスクを解説しましたが、当院でインプラントのリスクを減らすためにどのような技術や工夫を取り入れているかを解説します。

外科手術後の痛みや腫れの対策

私はできる限り切開や歯肉を開く範囲を最小限にとどめ、術後の不快感を極力減らすよう配慮しています。

そして、手術時間も1~2本のインプラント体の埋入であれば30分から1時間ほどで終了することが大半です。

 

これらの配慮によって術後の治りも良好になることが多く、当院では抜糸(傷口を閉じていた糸取り)の2週間後には痛みが消失、腫れもほとんどないことが大半です。

 

また、これから歯を抜いてインプラントにする場合、歯を抜いた当日にインプラント体を埋め込む抜歯即時インプラントという治療もあります。

治療前:虫歯になって歯が割れているため抜歯が必要で隣の歯も含めて計2本のインプラントを計画

 

インプラント治療後:根があったところには抜歯即時インプラント、元々歯がないところにインプラントの2か所を同時に進めていった。

 

これは、抜歯したくぼみをいかすため、従来のインプラント手術のように、歯肉を切開したり、開いたりすることは必要としないか、少しの程度で抑えられ、患者さんの肉体的な負担が少ないというメリットがあります。

 

加えて、抜歯した部分が治癒する機転にインプラント体が同調できるため、生体に受け入れられやすく生着しやすいというメリットもあります。

 

インプラント体が生着しない可能性

当院では、インプラントの種類をZimvie(ジンヴィ)社のMP-1®HAコーティングが表面処理された特殊なインプラント体を使用しています。

 

簡単に言えば、従来のインプラント体と比較し、MP-1®HAコーティングをしていることで、骨とのくっつきが良いというインプラント体です。

特にアメリカでシェア率が高く、世界で広く知られているインプラントメーカーです。

 

Zimvie(ジンヴィ)社のMP-1®HAコーティングが表面処理された特殊なインプラント体を使用することで少しでも生着する可能性を高めていますが、それでも私の臨床感覚で言うと、100本に1本程度の頻度で原因がわからず、生着しないこともあります。

このように、生着しないかもしれないというインプラントのリスクを考えて行っております。

 

神経や血管を損傷する可能性

神経や血管を損傷する事故は、術前、術中、術後のCT撮影を行い、確認をすることでほとんどの症例は回避できます。

 

当院のCTレントゲン

 

当院では、院内に3DレントゲンのCTレントゲンがあり、被曝量が少なく鮮明に撮影できるため、安全を確認しながらインプラント手術を行っており、これまでこのような事故は起こしたことはありません。

 

しかしながら、大きな神経や血管は検知できるものの、そこから枝分かれした細い神経や血管は損傷する可能性はあるため、100%安全であると言うことではなく、インプラントのリスクは必ずあることを理解していただければと思います。

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インプラント体や骨の造成部分が歯周病や感染する可能性

当院では極力、大掛かりな骨造成は回避するようにしています。

 

近年、従来のインプラント体よりも長さが短いショートインプラントと呼ばれるインプラント体が開発されたり、治療技術の進歩によって大掛かりな骨造成の手術は世界的にみて減少傾向にある実感です。

 

当院ではショートインプラントを用いる方法や、骨の造成をなくす、または最小限にするために、インプラント体を埋入する前のドリルで穴を開ける際に工夫をしています。

 

通常、ドリルで穴を右回転で切削すると、削った骨が外部に出てきます。

当院では、専用のドリルで逆回転させることで、切削した骨を内部に押し込みます。

 

それによって、骨の高さを2~3ミリは挙上できたり、骨のボリュームを増加させることができます。

 

 

また、骨造成で用いる際の骨補填再生材の種類も当院では配慮しています。

骨補填再生材の種類には、大きく分けて2種類あり、血液が骨補填再生材を囲み、最終的になくなり、自分の骨を誘導する「吸収性」と吸収されず残る「非吸収性」に分けることができます。

 

当院では吸収性の骨補填再生材を使用することで、最終的に患者さん自身の血液が骨になるようにと考えています。

 

一方、他院でのインプラント治療のリカバリー治療を頻繁に行う中で、非吸収性の骨補填再生材を多く使用している場合、生体の防御機構が働きづらいためか、骨補填再生材とインプラント体ごと膿んでいたり、炎症が起きていることがしばしばあります。

 

他院で上顎に骨造成を併用したインプラント治療後に、産んでしまい蓄膿症と同じ症状が出ていた患者さんのCT画像。非吸収性の骨補填剤と疑われる所見。

 

インプラント体の撤去手術を行うも、骨補填剤を摘出できない上顎洞のエリアまで炎症が波及している。

 

このように、骨造成を極力回避または量を減らすことや骨補填再生材の種類を適材適所に使用することで、将来的なリスクも考慮しています。

 

全身状態(病気や免疫力等)に影響し、影響される可能性

現在、病気を抱えている方で、インプラント治療を受けていいのかと心配されている方も少なくありません。

 

インプラントは、特性上、骨や歯肉に依存されるものであるため、現在と将来の全身状態を十分に考慮する必要があります。

現在、健康状態が良くても、もし入れたインプラントが悪くなって場合の、次の手を視野に入れておくと少しでも不安がなくなります。

 

当院では、インプラントで治療した後に悪くなっても、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯という治療方法がありますので、ご安心いただいております。

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インプラント以外の方法も知っておく

インプラント治療はメリットもありますが、デメリット、リスクもあるため、インプラント治療を検討する際には、インプラント以外の方法も知っておくことをお勧めします。

 

インプラントではない場合、入れ歯という選択肢があります。

 

しかし、従来の入れ歯には、うまく噛めない、見た目が不安、入れ歯というと老いのイメージを持たれている方も少なくありません。

 

当院では、従来の入れ歯とは全く異なるテレスコープ義歯をインプラント以外の方法としてお勧めしております。

【関連記事】テレスコープ義歯を完全解説!特徴、種類、メリット、費用は?

 

インプラント治療を選ぶ歯科医院のポイント

インプラント治療を受けるなら、インプラント専門の歯医者で治療を受けたい方も多いと思います。

 

しかし、インプラント治療が成功するかも重要ですが、全体的な噛み合わせの技術や、将来を見据えた全体的な治療計画の提案、

もし入れたインプラントが悪くなった際や、歯をさらに失った場合にインプラントが将来できなくなったりした時の治療を考えることも大切です。

 

 

当院では、インプラント治療のリスクに考慮した治療も可能ですが、インプラント以外の方法でも従来の入れ歯とは全く異なる「ドイツ式入れ歯」と言われるテレスコープ義歯の治療も多数行っております。

【関連記事】テレスコープ義歯を完全解説!特徴、種類、メリット、費用は?

 

 

テレスコープ義歯は、すでにインプラントが入っていても、治療を受けることができます。

他院で上の前歯に入れたインプラント5本が全て膿んでいる。インプラントの被せた歯が長いことも気にされている。追加で奥歯も失ったが、もうインプラントはしたくないので相談したいと来院された。

 

奥歯も失い、保険の入れ歯では噛めないから治療方法を聞きたいとお話しされていた。

 

インプラント体は撤去することなく、治療によってインプラント体の周囲の膿は全て消失した。その後、テレスコープ義歯で治療を行なった。内部には、自身の歯とインプラント体も残っている。

 

治療後:審美面も回復し何でも噛めると喜ばれていた。

 

そのため、当院でインプラント治療を受けて、将来もしインプラントにトラブルが起きたり、追加のインプラント治療ができない場合でも、当院でテレスコープ義歯の治療もすることができます。

 

 

歯を失ったときは再建する噛み合わせの治療技術も大変重要です。

当院はインプラントやブリッジ、ドイツ式入れ歯(テレスコープ義歯)も噛み合わせの学会で依頼講演もしています。

 

また、実際に治療した患者さんの症例を発表し、これまで国内最大規模の学会やコンペティションにて数々の受賞をしており、それを信頼し、全国から患者さんが来院されます。

 

【院長紹介】症例コンテストで数々の受賞歴を持つ院長の経歴紹介

 

当院では、歯がボロボロであったり、歯を失った患者さんに対して、私が考えることができる治療をいくつか提案しております。

 

 

患者さんによって違うリスクを知っていただき、その上で、どのような治療にするかをご一緒にご検討できればと思います。

 

 

今回は、必ず知るべきインプラント治療のリスクと対策を解説しました。

 

インプラント治療やそれ以外の治療方法を含めてお悩みの段階で、まずはご相談を承っておりますので、ご相談ください。

初診は、初診料5500円(保険外診療)です。

 

執筆者 歯科医師 このは歯科クリニック院長 小西浩介

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日付:   カテゴリ:歯のお悩みブログ

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