リーゲルテレスコープ義歯とは、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の種類の1つです。奥歯の部分入れ歯の治療方法として使用できます。
この記事では、リーゲルテレスコープの種類やメリット、デメリット、費用等、リーゲルテレスコープの全てがわかるように解説しています。
この記事の内容は、
- リーゲルテレスコープとは
- リーゲルテレスコープのメリットとデメリット
- リーゲルテレスコープの特徴と種類、適応症例と推奨しない症例
- リーゲルテレスコープの治療の流れ
- リーゲルテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か
- リーゲルテレスコープに関するよくあるご質問
- リーゲルテレスコープのメンテナンスと寿命
- リーゲルテレスコープの実際の症例を解説
- まとめ
- 歯がボロボロでお困りなら当院でテレスコープ義歯 ドイツ式入れ歯治療をご相談ください
リーゲルテレスコープとは
リーゲルテレスコープとは、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の種類の1つで、奥歯2本または3本なくなってしまった方に適した方法です。
【関連記事】テレスコープ義歯 ドイツ式入れ歯とは?テレスコープ義歯の種類、費用を解説します。
奥歯2本または3本失って部分入れ歯を検討されている方や、インプラントをしたくない方、現在の部分入れ歯が合わない、動いて使えない方に向いている治療方法です。
リーゲルテレスコープは従来の針金を使用する部分入れ歯であるクラスプ義歯のようなものではありません。
針金を使わないため見た目が自然で、義歯が動いたり外れることもありません。
入れ歯のイメージとは異なり、取り外すことができるブリッジというドイツで生まれたドイツ式入れ歯の1種類です。
ドイツ語で「リーゲル」とは「鍵」を意味していて、その名の通り、歯に装着する内冠(ないかん)の内側にある鍵穴に、内冠の上から装着する外冠(がいかん)にある小さい鍵を患者さんの指で開け閉めして外冠を固定します。
この鍵は親指と人差し指で簡単に外すことができるため、中の歯を清潔に保てます。この鍵は小さいため外からは見えることはありません。
この鍵は食事中に緩むことも義歯が動くこともなく、しっかりしているため物をしっかり噛むことができます。
そのため、従来の部分入れ歯のような動いてあたって痛い、食べにくいということは起こりにくいメリットがあります。
また、リーゲルテレスコープを含むテレスコープ義歯は歯磨きをする時のみしか外す必要はありません。就寝時も装着したままで、材質が良いため、よくある入れ歯洗浄液に夜間つけておく必要はありません。
外出や外泊程度であれば外冠を装着したまま通常の歯磨き通りで構いません。お手入れも万が一の修理も簡単です。
リーゲルテレスコープのメリットとデメリット
リーゲルテレスコープのメリット
針金式の入れ歯とは違い、外から金属が見えないため見た目が自然でしっかりと噛むことができるメリットがあります。
針金がないノンクラスプ義歯は、その材質上たわむため、部分入れ歯が動いてしまい、しっかり噛むことが難しい場合もあります。
また、通常の部分入れは動いてしまうことで食事中や睡眠中に使用すると、誤飲する可能性もあります。
その点、リーゲルテレスコープであればこれらが払拭されます。
もう一つのメリットは、義歯を支える歯の負荷に耐えれるよう内冠で歯を連結し固定することで強化することができます。
内冠をつけることで物理的に虫歯になりにくい状況にすることができます。
一般的には奥歯がなくなった場合、インプラント治療のみを推奨する医師が多いです。しかし奥歯の特性として歯がなくなってしまうと、骨が下がってしまい、元あった場所に骨がなくなってしまうことがよくあります。
下あごの骨の中には神経や血管が全部入っている、パイプのようなもの(下顎管:かがくかん)があります。
骨がなくなり高さがなくなると、インプラントのボルトがその下顎管にぶつかり大出血や知覚神経が麻痺する後遺症が生じてしまいます。
現に、インプラントが流行した2000年代には死亡事故も起きています。
神経や血管はレントゲンではなく3Dで捉える歯科用CTを使わなければ正確に確認できません。しかし、医院によっては導入していないところもあります。今でも強引に治療を行う先生のもとでは、神経を損傷して後遺症が残ってしまう事故が起きています。
私もテレスコープ義歯以外にもインプラントで治療を行うこともありますので、インプラント治療が決して良くないという意味ではありません。
しかし、治療のリスクやデメリットは患者さんもよく知っておくことは重要であると考えます。
リーゲルテレスコープのデメリット
リーゲルテレスコープをはじめとするテレスコープ義歯は非常に難しい技術が必要であるため、できる歯科医院は限られています。
また、テレスコープ義歯はハンドメイドで患者さんに合わせたオーダーメイドであるため製作技術も大変難易度が高い治療とされています。
また、歯科医院、歯科医師によっても技術の差はありますので、よくご検討されることをお勧めします。
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リーゲルテレスコープは特性上、歯を内冠で連結するため、ブリッジのように歯が悪くなって抜歯に至れば、使えなくなってしまう可能性があります。
そのようなことが懸念される症例や他の歯も心配な症例は、テレスコープ義歯の他の種類であるAGCテレスコープやコーヌステレスコープ、レジリエンツテレスコープのいずれかで大抵は適応できますのでご安心してご相談ください。
【関連記事】お口の中の状態別で解説|テレスコープ義歯 ドイツ式入れ歯の症例集とその治療費用
リーゲルテレスコープの特徴と種類、適応症例と推奨しない症例
リーゲルテレスコープの種類と構造
リーゲルテレスコープには、旋回(せんかい)リーゲルと回転リーゲルという鍵の構造で2種類に分かれます。旋回は扉を開け閉めするような動きをする鍵の構造で、回転はドアのレバーを下に押して開け閉めできる鍵の構造です。
私は臨床では強度と長期使用を考慮して旋回リーゲルを主に使用しています。
リーゲルテレスコープの適応症例
リーゲルテレスコープは主に奥歯2本または3本失った方のみに適応します。
インプラントをやりたくない方、奥歯2本または3本失って従来の部分入れ歯に不満がある方に向いているテレスコープ義歯の1種類となります。
条件としては、奥歯が2本または3本残っていない場合で、さらに欠損に近い手前の歯2本が神経を持つ歯の場合はこの方法が使えます。
その手前の歯の2本に内冠を装着するため、歯を1~2mm程の少量削ります。この量は一般的なセラミックよりも少ないため、過度な心配はいりません。
当院では歯の神経は取らずに、かつ術後に痛みが発生することはほとんどありません。
リーゲルテレスコープを推奨しない症例とその対応
私は以下の場合には様々な理由からリーゲルテレスコープは推奨しておりません。
前歯の欠損、前歯の部分入れ歯症例
リーゲルテレスコープの鍵を内蔵する構造上、前歯では分厚くなりすぎ、審美障害、発音障害が顕著に生じやすい。
失活歯(しっかつし)を含む症例
内冠を装着する歯がもともと神経がない歯が1本でもあればリーゲルテレスコープは選択肢から外します。
失活歯は神経がある歯とは異なり、歯根破折に至る可能性が高いと報告されています。
リーゲルテレスコープはテレスコープ義歯の種類の中でも唯一、患者さん自身の歯を内冠で連結する(一次固定と言う、以下解説)構造です。
そのため、内冠を装着した歯が抜歯に至ると、リーゲルテレスコープが全く使えなくなり再治療が必要となる可能性があります。
用語解説【一次固定とは】ブリッジのように直接つなげるという意味。【二次固定とは】内冠の上から繋げる意味であり歯どうし直接は繋がっていない、歯が揺さぶられにくく歯の負荷を減少できる効果がある
奥歯2本程度のみの欠損のみでリーゲルテレスコープが適応な症例の場合、コーヌステレスコープを使って奥歯のみの片側のみの義歯で欠損補綴治療することは適していません。
1980年代は日本では奥歯もコーヌステレスコープで治療をしていましたが、本場ドイツでは推奨されていません。
奥歯2本程度のみの欠損をコーヌステレスコープで行う場合、奥歯から手前2本を支えにしていたのですが、この2本に過重に力が加わることや引き抜く力が強くなってしまい、すぐに悪くなってしまいました。
したがって、症例に問わず、症例に適したテレスコープ義歯の種類を選定し設計することが長期予後につながると考えています。
リーゲルテレスコープの治療の流れ
実際のリーゲルテレスコープの治療の流れは、以下のようになります。
①初診でお口の中を診察しご相談、その後精密検査
②テレスコープ義歯の種類の選定とデザイン、設計の提案とご相談
③治療開始、内冠を装着する歯を削り仮歯、仮義歯を装着
④リーゲルテレスコープの最終の型取りを行い装着
⑤メンテナンスで3~6か月間隔の定期的な確認とクリーニング
リーゲルテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か
リーゲルテレスコープを含むテレスコープ義歯は保険適用ではありません。全て保険外診療となります。
当院では、リーゲルテレスコープの治療開始から仮歯、リーゲルテレスコープの製作、装着、調整まで含めたトータルの費用で治療費をご案内しています。
リーゲルテレスコープは原則、白金加金合金というゴールドとプラチナの合金で製作することで長期的な使用が担保できるため、この金属も治療費用に含んでおります。
治療費用は、奥歯2本または3本失った方はおよそ150万円程度必要です。
リーゲルテレスコープに関するよくあるご質問
Q: リーゲルテレスコープの治療は痛みがありますか?
A: インプラント治療のような外科手術はありません。骨にボルトを入れることはありません。歯を削る際には歯科治療で一般的な麻酔を行うため、痛みはありません。
Q: 治療にかかる期間はどのくらいですか?
A: 約4~6か月です。始めの1か月は1~2週間に1度のペースで、最終的な型取りが始まれば1か月に1度の来院頻度です。抜歯が必要な場合は、約3~6か月程度追加で必要です。リーゲルテレスコープを装着するまでは仮歯や仮義歯が入るため、歯がない期間はありませんのでご安心ください。
Q: リーゲルテレスコープの治療費用の支払いはどうすればいいですか?
A: 保険外診療となるため、クレジットカード、銀行振込、現金いずれも可能です。手数料なしの院内分割や他社でのデンタルローンも数社取り扱っておりますのでご相談ください。お支払い方法のご案内はメニューの料金表をご覧ください。
リーゲルテレスコープのメンテナンスと寿命
リーゲルテレスコープのメンテナンスとは、歯とリーゲルテレスコープのクリーニングとチェック、調整のことを指します。
普段のケアは通常の歯磨きのように簡単にできますが、天然歯列と同様にご自身で磨けていないところが発生します。
虫歯や歯周病に罹患しないよう磨けていないところのケアのアドバイスも行いますので、始めは3か月に1度のペースで、順次メンテナンスの間隔をあけていくことも可能です。
リーゲルテレスコープを含むテレスコープ義歯は修理が可能であるため、余程の状況にならない限り長く使用することが可能です。
【関連記事】テレスコープ義歯はどれくらいもちますか?テレスコープ義歯の寿命を解説します。
リーゲルテレスコープの実際の症例を解説
治療の概要
50代の女性の患者さんです。
この患者さんは左下の奥歯が2本なくなってしまい、他院でインプラントの相談に行ったところ、インプラントを埋入する骨がなくてできないと言われました。
たしかに、レントゲンを撮って確認したところ、骨がなくなっていました。
インプラントをいれるためには骨造成といって大掛かりな手術が必要となる症例です。
たとえ骨造成をしてインプラントをしても人工的に増やした骨が感染するリスクが伴います。
しかし、通常の部分入れ歯ではクラスプつまり針金が目立ってしまうこと、義歯が動きやすいためうまく噛めない、それにより義歯の痛みが続くことが懸念されます。
したがって今回はテレスコープ義歯のリーゲルテレスコープを選択し治療を行いました。
リーゲルテレスコープの大きな特徴は鍵で義歯をつけることです。
外側からの写真では全くわかりませんが、内側に小さな鍵がついています。
この鍵や白い歯の中のフレームは全て白金加金合金で精密に製作されており、全て患者さんに合わせたハンドメイドでありオーダーメイドであります。
外側から見えるのは人工歯と呼ばれる歯と同じ白い材料と床と呼ばれるピンクの材料だけであるため、口を開けた時に不自然さがなく従来の入れ歯とは全く異なります。
治療後はしっかり噛めることができ、審美的にも満足していただいた患者さんです。
治療後8年経過しておりますが問題なく良好な経過をたどっております。
治療費用・治療期間
治療費用:治療費・仮歯・仮義歯込み154万円(税込)
治療期間:約6か月(前半約2か月は1~2週に1度、後半約4か月間は1月に1回の来院頻度)
※治療費用や種類は治療当時の記載であるため、現在は変更になっている可能せがあります。
治療のリスク
・人工的な歯であるため慣れが必要です
・定期的なメンテナンス(3~6か月に一度)が必要です
この症例のポイント
このような部分的な片側のみのテレスコープ義歯症例はコーヌステレスコープは不向きと言われています。奥歯2本欠損の場合は、手前2本が健康な歯があればこのリーゲルテレスコープが向いています。
もし、手前2本のいずれかが神経がない場合や、歯周病の場合は、全体の歯を使用し全体のコーヌステレスコープが向いていることもあります。
奥歯2本欠損の手前2本に内冠を装着しておりますが、歯の神経はとっておりません。テレスコープ義歯は約1~2ミリの削る量で十分であるため、神経を損傷するリスクは高くはありません。
この削る量はセラミッククラウンやジルコニアクラウンよりも少なくすることが可能です。
ただし、削る量を少なくするゆえ、加えて内冠外冠の2重構造ゆえに自分の元々の歯よりも少し厚みが出る可能性があります。
薄くする対策としては、内冠外冠の構造を薄くすることが考えられますが、長期間使用するだけの強度が足りないことが懸念されます。
また違う対策として、歯を削る量を多くすることも考えられますが、歯の神経を損傷したり、装着後内冠をつけた自分の歯ごと破折するリスクがあります。
したがって、自分の歯およびテレスコープ義歯を長持ちさせる観点から少し構造が分厚くなることは術前に十分説明を受けることが重要です。
まとめ
リーゲルテレスコープは奥歯を2本程度失った方で従来の部分入れ歯やインプラント治療ではない治療方法で患者さんに喜んでいただいております。
テレスコープ義歯の口コミは日本では少ないですが、当院で治療を終えた方には治療後の感想をとっておりますので、そちらもご確認いただければと思います。
【関連記事】テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)の口コミ|東京でテレスコープ義歯 ドイツ式入れ歯ならこのは歯科クリニック
奥歯2本のみではなく全体的に歯がボロボロでお困りの方でもリーゲルテレスコープ以外にも他の種類のテレスコープ義歯でほとんどの場合、治療ができますのでご安心ください。
ご自身に近い状態が症例集にいずれかに該当すると思いますので、症例集もご確認ください。
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歯がボロボロでお困りなら当院でドイツ式入れ歯 テレスコープ義歯治療をご相談ください
当院では全てのテレスコープ義歯治療は、歯がボロボロでテレスコープ義歯などの治療を行った症例報告で全国で何度も最優秀賞を受賞し、テレスコープ義歯で歯科医師向けに依頼講演や依頼執筆を行う院長の小西が全て設計から治療まで担当しますのでご安心いただければと思います。詳しくはホームページのメニューの院長紹介もご覧ください。
執筆者:院長 小西 浩介