記事作成日:2024年3月25日
テレスコープ義歯はどれくらい持ちますか?というご質問を多くいただきます。
そこで今回は、テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)の寿命と長持ちさせる秘訣を解説します。
この記事の内容は、
- テレスコープ義歯の構造と種類
- テレスコープ義歯の寿命、どれくらいもつのか
- テレスコープ義歯は修理が可能
- テレスコープ義歯の内冠を装着した歯の10年予後は約90%
- テレスコープ義歯の寿命に影響する因子(設計・材質・維持管理)
- テレスコープ義歯を長持ちさせるお手入れと正しいケア
- テレスコープ義歯をさせる種類と設計、実際の症例集
テレスコープ義歯の構造と種類
テレスコープ義歯とは、ご自身の歯を利用した取り外しができるブリッジに近い入れ歯(保険外治療)の種類の1つです。
テレスコープ義歯にはいくつかの種類があり、歯の残り方や口腔内の状態によって歯科医師がその種類を選択、デザインを設計していきます。
ご自身の歯に装着するのが内冠(ないかん)と言い、その内冠の上から患者さんが任意で取り外すことができるものを外冠(がいかん)と言います。
内冠を装着したご自身の歯が悪くなれば、抜歯を行い、外冠は簡単な修理で使用継続ができるというのがテレスコープ義歯のメリットと言えます。
テレスコープ義歯の寿命、どれくらいもつのか
テレスコープ義歯の寿命は、内冠を装着した歯の寿命と、外冠のテレスコープ義歯本体の寿命に分けて考えることができます。
内冠を装着した歯の寿命が来たとして、歯を抜歯しなければならなくなったとしても、テレスコープ義歯の外冠の寿命が来て、使えなくなるというものではありません。
テレスコープ義歯の内冠を受け止めていた外冠のくぼみを埋める簡単な修理でそのまま使用することができます。
装着後に追加で歯を数本失った時に全て作り替えなければならないというテレスコープ義歯は、テレスコープ義歯のメリットを活かしきれていないため、歯科医師の先を見据えたテレスコープ義歯の設計がとても重要となります。
弱い歯が数本しか残っていない場合も、レジリエンツテレスコープというテレスコープ義歯の種類があります。
【関連症例】歯がボロボロで数本しか残らない場合のテレスコープ義歯の実例
もし全ての歯を失ったとしても簡単な修理をし、そのまま総義歯として使用継続が可能です。
したがって、テレスコープ義歯はご自身の歯の寿命に関わらず、修理をしながら長く使用することが可能です。
テレスコープ義歯は修理が可能
テレスコープ義歯の外冠の噛み合わせる部分である白い歯の人工歯(じんこうし)は車のタイヤと同様に経年的にすり減る可能性があります。
しかし、将来すり減ったとしても、人工歯は部分的にも交換または修理することが可能であるため心配は入りません。
テレスコープ義歯の人工歯は、セラミックではありません。セラミックですと、すり減ることなく割れてしまい修理ができません。したがって、テレスコープ義歯の人工歯はハイブリットレジンといわれる硬い樹脂を使用します。ハイブリットレジンは修理が可能であり、審美的にも優れた特徴を持ちます。
また人工歯を支える床(しょう)のフレームの内部には金属を仕込み壊れにくいように強度をつけることも可能です。テレスコープ義歯の場合、床も人工歯も保険外治療で使用する材質を使用するため、保険内治療の入れ歯とは比べものにならないほどの強度があります。
万が一、壊れてしまった場合も修理が可能であるため、患者さんに安心して長く使っていただくことができます。
テレスコープ義歯の内冠を装着した歯の10年予後は約90%
次に、内冠を装着した歯がどれほど持つかという寿命を解説します。
ドイツのバイエルン州にあるレーゲンスベルグ大学附属病院による2009年に報告されたテレスコープ義歯の追跡調査によると、577名のテレスコープ義歯装着患者の1807本の内冠を装着した歯の10年生存予後は86,6%~98,8%と非常に高い数値でした。
加えて、上述したように内冠の歯が抜歯に至っても修理できるテレスコープ義歯の設計にしている限り、外冠を作り変える必要がないことを考えれば、少なくともテレスコープ義歯の寿命は10年間は問題なく使用できると言えます。
テレスコープ義歯の寿命に影響する因子(設計・材質・維持管理)
以上のことをことをふまえれば、テレスコープ義歯の寿命に大きく影響する要因は、歯科医師のテレスコープ義歯の設計力と技術力と、使用している材質と言えます。
当院には他院でテレスコープ義歯で治療を行い、数年後に全て使えなくなってしまい、全て取り壊して全て再治療をする症例を多数行っておりますが、その大半はテレスコープ義歯の設計によるものです。
【関連記事】テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)のデメリットとは:テレスコープ義歯の寿命は歯科医師の診断と設計力で変わる
また、その失敗症例には、本場ドイツでは行われていない歯科医師独自の方法で設計や製作している場合や、耐久性の弱い材料を使用している場合も見受けられます。
テレスコープ義歯の治療や製作する一連の流れでは、必ず一定の治療費用はかかります。それにも関わらず、治療費用や製作費が安価すぎる場合は、テレスコープ義歯の寿命にも関与することもあるため、よく検討することも大切となります。
【関連記事】テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)の費用・値段を症例に合わせて解説します
テレスコープ義歯を長持ちさせるお手入れと正しいケア
内冠を装着した歯と、外冠はご自身で歯磨きをすることで簡単にケアが可能です。
内冠は基本的に1本1本独立したキャップであるため、お手入れもしやすく、虫歯や歯周病にもなりにくい環境となっています。
テレスコープ義歯に関わらず、ご自身のケアが内冠を装着した歯と、外冠の寿命にも影響を及ぼす可能性があるため、普段のケアが重要です。
当院では患者さん個々の状態に合わせて歯科医師とテレスコープ義歯の専門知識を持った歯科衛生士がケアのアドバイスを行います。
また、治療終了後は3~6か月に1度を目安に来院していただき、ご自身でケアが足りない部分を重点にテレスコープ義歯専門の歯科衛生士による専門的なクリーニングとメンテナンス、歯科医師によるチェックを1度に(保険外診療:13200円)行い、テレスコープ義歯とご自身の歯が長く使えるようお手伝いをしております。
テレスコープ義歯をさせる設計と実際の症例集
このように患者さんのケアと定期的なメンテナンスがテレスコープ義歯の寿命に影響を及ぼしますが、何よりテレスコープ義歯の設計が大変重要であることがわかります。
当院では全てのテレスコープ義歯治療は、歯がボロボロでテレスコープ義歯などの治療を行った症例報告で全国で何度も最優秀賞を受賞し、テレスコープ義歯で歯科医師向けに依頼講演や依頼執筆を行う院長の小西が全て設計から治療まで担当しますのでご安心いただければと思います。
来院前に実際にテレスコープ義歯で治療した患者さんの事例をホームページの症例集に数多く掲載し解説しておりますので、ご参考にされてみてください。
【関連記事】実際のテレスコープ義歯で治療した見た目やテレスコープ義歯の治療費用は症例集で確認できます
インプラント治療の場合、歯を失ったらその都度またインプラントを骨に埋入する治療が続きます。また、骨に埋入したインプラント自体が歯周病で抜かなければならないこともあります。
テレスコープ義歯はその反面一度治療をしたら長く使用していただくことが可能であるメリットがあります。
今回はテレスコープ義歯の寿命について解説をしましたが、テレスコープ義歯の治療をご検討の場合は、治療を受けるクリニックを十分に検討することをお勧めします。
院長 小西 浩介